手の痺れ(手の神経痛)

手の痺れ 腕や手、指先に出るビリビリやズキズキとした痛みや痺れ、触れたときの感覚の異常は、腕の神経が圧迫されたり、傷つくことで起きる神経症状です。感覚神経がダメージを受けると痛みと感覚障害。運動神経なら痺れなどが出ます。手の神経痛(神経症状をまとめて神経痛と表記します)が出る位置は、神経が圧迫などのダメージを受けている部分から末端にかけて起こります。

頸で神経が圧迫されると、肩から指先にかけての範囲内で神経痛が出ます。神経痛が起こる原因は主に、骨(関節)、椎間板ヘルニア、筋肉によっておこります。一番多く起こるのが筋肉性の神経痛です。神経は筋肉の間を走行するので、筋肉が過緊張を起こした際に神経を圧迫することがあります。70歳以下の神経痛は、ほとんどがこれに当たります。骨(関節)の変形による神経痛は、70歳以上かラグビーや格闘技などの頸椎を痛めるスポーツをしていた場合に起こります。

よくレントゲンを撮り、骨の変形があると診断されることがありますが、変形があるのに症状が出たり治まったりすることがあります。骨が変形して神経を圧迫している場合、症状は常に一定です。骨が一時的に柔らかくなったりしません。ではなぜ症状が一時的に収まるのか?それは筋肉性の神経の圧迫だからです。筋肉は体温の上昇や筋肉内の血管拡張で、一時的に緊張が緩むことがあります。重症になるとそれさえも起こらず症状が一定になりますが、基本的に症状が変化するのは筋肉性の神経痛の可能性が高いです。

椎間板ヘルニアの場合も常に神経痛が起こるか、首を前に曲げることで椎間板が圧迫され、髄核が飛び出て神経に当たり神経痛を起こします。椎間板は朝むくむことがあり、朝症状が出やすいと言いますが、筋肉性の神経痛でも同じく夜中から朝方にかけて神経痛が出やすくなるので、そこで判断するのは難しいです。椎間ヘルニアや骨の変形より圧倒的に筋肉性が多いので、はっきりしない場合は筋肉性と考えて鍼灸を試すことをお勧めします。

神経痛の範囲

橈骨神経 (C5-T1)頸部から出た神経が枝分かれをして、腋窩から上腕の後方を回り込むように通過して、腕橈骨筋の下を通過するように1,2,3指の背側に伸びる神経です。主に親指の付け根辺りから1,2指の背側に神経痛が起こります。

正中神経 (C6-T1)頸部から出た神経が枝分かれして腋窩から上腕内側、肘の前面、前腕の前面正中を通過して手掌から1,2,3,4指の手掌側に伸びます。主に手の平に神経痛が出ますが、小指には出ません。この神経は円回内筋に圧迫されることが多く、手根管症候群とも間違えられやすいです。

尺骨神経(C7-T1) 頸部から出た神経が枝分かれして腋窩から上腕内側、肘の内側後方から小指側に伸びます。神経痛は4,5指の両面に出ます。

腋窩神経(C5-C6) 頸部から出た神経が枝分かれして腋窩から後方に抜け、三角筋に回り込むように走行します。神経痛が起こる原因は頸部か腋窩部です。

筋皮神経(C5-C7) 頸部から出た神経が枝分かれして腋窩から烏口腕筋を通過して、上腕二頭筋の下、腕橈骨筋の表面に伸びます。頚部か烏口腕筋で神経の圧迫が起きやすいです。

神経痛の鍼灸施術

神経痛の原因の多くは、筋肉による神経の圧迫です。椎間孔から出た頚神経が斜角筋の間を通過して鎖骨下を通り、腋窩から腕や手に伸びます。腕の神経全部に症状が出る可能性があるのが、斜角筋です。側頚部にある筋肉で腕の神経全てを圧迫することがあるので、2つ、3つの神経症状が同時に出ていれば、まず斜角筋を疑います。腋窩部でも複数の神経の圧迫は起こりますが、斜角筋の方が圧倒的に多いです。上の写真は側頚部と耳鳴りの鍼施術の際のものです。首横から斜角筋に刺鍼して筋肉を緩めて神経の圧迫を改善させます。鍼灸の鍼は筋肉に刺すことで筋緊張の緩和や血管拡張が体の反射によっておこります。(詳しくは鍼灸のメカニズムを確認ください。)

頸部腋窩部以外にも腕の筋肉でも神経を圧迫することがあります。橈骨神経は上腕三頭筋や前腕伸筋群に、正中神経は円回内筋に、尺骨神経は尺職手根屈筋に、筋皮神経は烏口腕筋に圧迫されることがあります。症状をよく確認していけばどの神経が神経痛になっているかがわかりますので、頸部、腋窩部、上腕前腕部の必要箇所に刺鍼して、原因の筋緊張を緩めて改善させます。神経痛の範囲が広ければ頸部、狭ければ前腕よりに原因がある可能性が高いです。